ISBN:4043596049 文庫 岩井 志麻子 角川書店 2004/05 ¥540

面白かったです。面白い・・・というのが、的確な表現かはわかりませんが。とにかく、飽きさせない、次々読み進めたくなる、そんな小説でした。
これ、角川ホラー文庫なんですね。いわゆる、心霊的なホラーとはちょっと違うけど、心理的な、人間の奥底にある情念の怖さ・・・とでもいうのでしょうか。
「津山30人殺し」を題材としてる小説ですが、いわゆる残虐シーンというのは、終わりの数ページしかありません。事件を知るある女性の回想から始まり、それぞれの章が、主人公である事件を犯す男に何らかの関わりを持つ人たちの物語。それは、肉体的な関わりや、精神的な関わりや、世間的な関わりや。いろんな形での関わり方が、事件への布石となり、最後の最後、陰惨な出来事が発生する。
岩井さん自身が岡山県出身なんですね。だから、方言もリアルだし、取材もすごくされたんでしょう、情景とか状況が目に浮かぶようです。なんというか、田舎の山村の、ねっとりとした空気・・・のんびりとした日本の原風景、というものの裏に隠された、人の汗の臭いとか、体温の高さとか、それらがすごく伝わってきました。そして、もとを辿れば、みんなが血が繋がっている、その血の濃さに、身震いしそうでした。その濃さが、嫉妬したり、憎悪したり、愛したりする度合いを、何より高めているような。畏れられている森の、その不気味な様が、ありありと思い浮かぶ、そんな小説でした。

ドラマ版「砂の器」で、本浦千代吉も大量殺人を犯しましたが、あれにも、悲惨な背景があり、それも、ある寒村での事件で。おそらく、この「津山30人殺し」をモチーフにしてるんでしょうけど。
『人を殺す』理由は、それぞれで、だからといって、どんな理由でも決して、人を殺すことを肯定してはいけない。でも、罪を罪として裁く時、ただ人を殺したことのみ取り上げるのは、理不尽なことなのかもしれない。「家庭の境遇うんぬん〜」は、理由にならないと私は思うけど。でも、真実を知った時、殺された人に憎しみを抱く事件も、現実にはあったりします。
私が生まれる少し前に起こった、いわゆる「尊属殺人罪」をのちのち廃止するきっかけになった事件。詳しくは書きませんが。この事件の犯人の人生を知った時、涙が出そうになりました。もし、それが私だったら・・・と思ったら。そして、犯人と殺された男の間に生まれた子供たちの人生を思ったら。犯人が、それまで、どれだけの恐怖と憎しみと諦めを、その心の中に閉じ込めていたのかと思ったら。悲しく、そして、とても怖くなりました。
もしかしたら、”どうやって殺したか”を知るより、”なぜ殺すに至ったか”を知ることの方が、本当は怖いのかもしれません。
引っ張り出したマンガ、読んじゃいました。・・・進まないよ、掃除。
最近のマンガはさすがに読まないけど、復刻版、とか、文庫サイズになって出てる昔のマンガ、本屋で見たらついつい買っちゃう。

今日は、くらもちふさこの「海の天辺」「チープスリル」「A−Girl」「アンコールが3回」「東京のカサノバ」・・・続けて読んだ。
やっぱり、面白い!ストーリー展開が、くらもちさんは天才だなあと思うくらい、ドキドキするし、飽きない。
それに、主人公が恋する相手・・・男の子が、かっこいいんですよね。特にすきなのが、「海の天辺」の河野先生と、「東京のカサノバ」の暁かな。なんかぶっきらぼうで、ちょっと不良で、でも優しい・・・たまらんですね。この2本は、物語としてもすごく好き。

マンガ雑誌、今は全然買わないけど、小学生から中学生までは、買ってましたね。『なかよし』〜『りぼん』〜『別冊マーガレット』と流れた口です、私は。この流れ、結構多いんじゃないかな。
『なかよし』は、「キャンディ・キャンディ」ですね〜一大ブームを巻き起こしましたね。この物語は、子供の頃読んでも、意味わかんないところもあるよね、きっと。キャンディとテリィの別れのシーンとか、高校生くらいになって読んだら、もう悲しくて切なくて堪らなかった。結構大人の物語ですよね。
『りぼん』は、そうだな、小椋冬実とか、太刀掛秀子とか、一条ゆかりとか、好きでしたね。太刀掛秀子の「花ぶらんこゆれて・・・」これも、文庫で買いました。
『別冊マーガレット』は、当時、くらもちふさこ、聖千秋、多田かおる、いくえみ綾、紡木たく・・・どれもすごく好きだったな。で、紡木たくの「みんなで卒業をうたおう」での主人公が好きになる相手が、当時のフミヤっぽかったんでね。すごく好きでした。あと、「机をステージに」は名作だと思う。「うまくいえない」も好きだな〜〜。「ホッとロード」もいいけどね。聖千秋は、初期のが好き。「銀河系を抱きしめる」とか、「さくらさくら」とか、ちょっとSFっぽい感じで。いくえみ綾も、初期が好きかな。「以心伝心のお月さん」「エンゲージ」「うたうたいのテーマ」「きみたちはガラス」。くらもちふさこは、上に書いてるのと、あと「いろはにこんぺいと」「KISS+πr2」とか、好きですね〜。多田かおるさんは、「愛してナイト」もいいし、「いたずらなKISS」も。これは、未完になってしまって・・・亡くなられた時は、結構ショックでした。

漫画家さんで大好きなのは、あきのかなさん。マイナーだけど・・・知ってる人いるでしょうか?琴線に触れる、心がホッとする、とてもいいお話を書く人です。今は、書いてないみたいですけど・・・コミックは全部揃えてます。何気ない日常を描くのがとてもうまい。で、不器用で、でも純粋な心の人を描くのが素晴らしい人だと思う。
そうそう、「生徒諸君!」も集めてたな〜。もう処分したけど・・・。これ、最後の方いまいちでしたね。だって、なんで沖田君死なせるのか・・・ナッキーが、岩崎君と沖田君の間で揺れてたんですよ、だからって、沖田君を山で遭難させて、死なせることないでしょ〜〜。沖田君好きだったから、ショックだったな〜〜。

・・・並べてる作品で、私の年代モロバレですね〜。でもね、本当に面白いマンガが多かったですよ。今はどうなんだろ、読まないからわからないですけどね。